トラックドライバーの人間関係は本当にラク?現役20年が「1日に人と話す時間」を数えてみた

納品先でドライバーが担当者に伝票を渡し、短くやりとりしているイラスト
後輩くん
後輩くん

アンナギさん、ドライバーって「人間関係がラク」ってよく言われますよね。あれ、本当なんですか?

アンナギ
アンナギ

俺の実感では、本当だと思う。
ただ「いい人ばかりだからラク」って意味じゃないんだ。理由はもっと単純だよ。

「人間関係が少なそうだから」という理由でドライバーを選ぶ人は、けっこういます。

その感覚は、たぶん間違っていません。
ただし、ラクな理由を勘違いしたまま入ると、あとで戸惑うところもあります。

この記事では、自分(20年・2t〜4t・地場)の場合として、誰と、どれくらいの時間、どんな関わり方をしているのかを正直に書きます。

結論:ラクなのは「関わる時間そのものが短い」から

先に結論を書きます。

ドライバーの人間関係がラクだと感じるのは、いい人に恵まれているからではありません。
そもそも人と関わっている時間が、とても短いからです。

仕事の大半は、運転席に一人です。
誰かと同じ空間で、何時間も一緒に過ごすことがありません。

だから、合わない人がいても、離れていられます。
これが一番大きいと思っています。

1日に人と話す時間を、実際に数えてみました

感覚で「短い」と言っても伝わりにくいので、自分の1日を思い出して数えてみました。

場面だいたいの時間
朝礼0分(自分は話しません)
配車係とのやりとり10分ほど
荷主・納品先とのやりとり10分ほど(状況による)
休憩中の同僚との雑談15分ほど
仕事終わりの雑談10〜20分ほど

足すと、だいたい45分〜1時間弱です。

朝礼はありますが、自分が何かを話す場面ではありません。
配車係とのやりとりが10分ほど、納品先とのやりとりも10分ほど。
あとは、休憩中と仕事終わりに少し雑談するくらいです。

後輩くん
後輩くん

1日で1時間もないんですか…!思ってたより、ずっと少ないです。

残りの時間は、ほとんど運転席です。
1日の流れそのものが気になる人は、トラックドライバーの1日の流れもあわせて読んでみてください。

いちばん気をつかう相手は、社内ではありません

意外に思われるかもしれませんが、自分がいちばん気をつかうのは取引先(納品先)の人です。

社内の上司や先輩ではありません。

理由は単純で、相手のことを知らないまま、その場で対応しないといけないからです。
会社の人なら性格も分かりますが、納品先はそうはいきません。

実際にきつかった場面

正直に書きます。

  • 納品指示が早口で終わってしまう……「この物はここ、この荷物はここ」と手早く説明されて、担当者はさっさとどこかへ行ってしまう。複数箇所への指示を一度に言われても、覚えきれません
  • 検品をお願いしてもたらい回しにされる……「担当じゃないから」と言われて、次の人へ、また次の人へ、となることがあります

どちらも、こちらが悪いわけでもありません。
ただ、その場では言い返しにくい。そこが気をつかうところです。

アンナギ
アンナギ

正直に言うと、ここは今でもうまい答えを持ってないんだ。
相手にも都合があるし、こっちも急かされている。20年やっても、慣れるというより「そういうものだ」と思うようになっただけだよ。

逆に、うれしかったこと

悪い話だけ書くのは不公平なので、こちらも書いておきます。

納品先の人から、お茶を差し入れしてもらったことがあります。
果物をいただいたこともありました。

毎日あることではありません。
ただ、こういうことがちゃんとあるのも本当です。

社内の人間関係はどうか

ここは、拍子抜けするくらい普通です。

上下関係・体育会系のノリ

自分の会社にはありません。
ドライバー同士でも、あまりないと感じています。

ただし、正直に言うと例外もあります。

  • 助手との二人組で動くとき……ずっと二人なので、体育会系っぽい空気になることはあるかもしれません
  • 前職の引越し……こちらは、昔ははっきり体育会系でした

並べてみると、そうなのかなと思うことがあります。
ずっと誰かと一緒に動く仕事ほど、上下関係が濃くなりやすいのかもしれません。
一人で運転している時間が長い仕事は、そこが薄くなるように感じています。

※これはあくまで自分が見てきた範囲の話です。会社によって空気はかなり違います。

ドライバー同士の距離感

ここも、他の会社と同じだと思います。

部署が一緒なら仲良くなるし、離れていれば絡まない。
それだけです。

「ドライバーだから独特」ということは、特にありません。

新人のころ、いちばんきつかった先輩の話

休憩スペースで、少し離れた場所に静かに座っているドライバーのイラスト

ここまで「ラクだ」と書いてきましたが、ゼロだったわけではありません。

新人のころ、やたら自己肯定感の高い先輩ドライバーがいました。

「自分が一番」という人で、何にでも話に突っ込んできます。
そして必ず「俺だったらこうした」と言う。

間違ったことを言っているわけではないのかもしれません。
ただ、付き合うのが、とにかく嫌でした。

後輩くん
後輩くん

それ、どうやって乗り切ったんですか…?新人だと言い返せないですよね。

やったことは「距離を取る」だけ

正面からぶつかったわけではありません。
説得したわけでも、上に相談したわけでもありません。

やったのは、あまり話さなくなったということだけです。

そのうち、その先輩は会社を辞めていきました。

結果としては、とにかく距離を取ったのが良かったのかなと思っています。

アンナギ
アンナギ

この仕事は、距離を取るのが許される仕事なんだ。
ずっと同じ部屋にいる仕事だと、こうはいかない。それが一番の救いだと思ってる。

ここは補足しておきます。
暴言や無視のように、我慢で片づけてはいけないこともあります。その場合は距離を取るだけでは足りません。
会社の相談窓口や、外部の相談先(労働局の総合労働相談コーナーなど)に相談してください。
自分が書いているのは、「気が合わない人がいた」レベルの話です。

20年やって落ち着いた、自分の付き合い方

自分がやっていること
  • 苦手な人・嫌な人には近寄らない
  • 距離を取る。無理に仲良くしない
  • 関わるときはビジネスパートナーとして接する
🤔
やらないこと
  • 正面からぶつかって分からせようとする
  • 嫌な相手に合わせて、無理に話を続ける
  • 人間関係だけを理由に、すぐ辞める

「ビジネスパートナーとして接する」というのが、自分の落としどころです。

友達になる必要はありません。
好きになる必要もありません。
仕事が回ればいい、と割り切ると、だいぶ気が軽くなります。

実際、自分は人間関係を理由に会社を移ろうと思ったことは一度もありません。
20年で、です。

前の仕事と比べて、どうか

自分は前に営業と、引越しの助手をやっていました。

正直に言うと、「前の仕事のほうが良かった」と思うところは特にありません。
今のほうが性に合っています。

営業のころは、人と向き合う時間そのものが仕事でした。
今は、荷物と道路と向き合う時間が仕事です。

どちらが上ということではなく、向き不向きの話だと思っています。
前の仕事から移った経緯は、営業からトラックドライバーに転職した話に詳しく書きました。

入る前に確認しておくといいこと

ここまで書いてきたのは、あくまで自分の会社の場合です。

人間関係は会社ごとの差が大きいところです。
そのうえで、自分の経験からひとつだけ挙げるとすれば、これだと思います。

その仕事が「一人で動く仕事」なのか、「助手と二人で動く仕事」なのか。

ここで空気は変わってくると思います。
一人の時間が長いほど、この記事に書いてきた「離れていられるラクさ」に近づきます。
逆に、ずっと二人で動くなら、相手との相性の比重が大きくなります。

面接での聞き方に迷ったら、面接で聞くべき質問7つにまとめてあります。
会社の雰囲気そのものの見分け方はやばい運送会社の見分け方
そもそもどこで求人を探すかは仕事の探し方3つの比較もあわせてどうぞ。

まとめ:ラクなのは、離れていられるから

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

この記事で言いたかったのは、ひとつだけです。

ドライバーの人間関係がラクなのは、いい人ばかりだからではありません。
合わない人がいても、離れていられるからです。

自分の1日で、人と話す時間はだいたい1時間弱。
いちばん気をつかうのは、社内ではなく納品先。
新人のころ苦手な先輩はいましたが、距離を取ったら、それで済みました。

ただし、人付き合いがゼロになるわけではありません。
納品先の人とは毎日会いますし、そこがいちばん気をつかいます。
「誰とも話さなくていい仕事」を期待して入ると、そこは違うと思います。

そのうえで、もし人と関わるのが苦手でこの仕事を考えているなら――
合わない人から、離れていられる仕事ではあります。
自分が20年続けてこられた理由は、たぶんそこです。