トラックドライバーの冬は何がきつい?現役20年の正直な話【結論:夏のほうがきつい】

冬の早朝、トラックのフロントガラスの霜を削っているドライバーのイラスト
後輩くん
後輩くん

アンナギさん、夏の話は前に聞きましたけど、冬はどうなんですか?やっぱり寒くてきついですか?

アンナギ
アンナギ

意外に思うかもしれないけど、体は夏のほうがきついよ。
ただ、冬には冬の危なさがある。そっちの話をしたいんだ。

1日の流れを書いた記事では、夏の暑さがどれだけこたえるかを書きました。

今回は冬です。
自分(20年・2t〜4t・地場)が実際に経験していることを、正直に書きます。

先に前提:あまり雪の降らない地域の話です

これを書かずに進めるのはフェアではないので、最初に断っておきます。

自分が走っているのは、あまり雪が降らない地域です。
冬に降ることはありますが、年に数回ほどです。

ですから、この記事は雪国の話ではありません。
毎日雪と向き合っている地域のドライバーからすれば、物足りない内容だと思います。

ただ、「雪はあまり降らないけれど、冬は寒いし路面は凍る」という地域は、日本の多くを占めます。
そこで20年走ってきた実感として読んでもらえたらと思います。

結論:体は夏のほうがきつい

先に結論を書きます。

体力的にきついのは、冬より夏です。

理由は単純で、冬は動いていれば体が温まるからです。

積み込みや荷降ろしをしていれば、そのうち汗をかきます。
寒いと感じるのは何もしていないとき——待機しているときや、走り出す前です。

夏はそうはいきません。動けば動くほど、体力を持っていかれます。
ここは、逆にはなりません。

アンナギ
アンナギ

冬は着込めばなんとかなる。でも夏は、脱いでもどうにもならないからね。
だから「冬だからきつい」って煽る気はないんだ。

ただし、これは体力の話だけです。
危なさで言えば、冬のほうが上です。そこはこのあと書きます。

冬の朝に変わること

まず、朝の話から。

起きる時間は、普段とさほど変わりません。

ただ、ひとつだけ変わることがあります。
フロントガラスに霜が張り付いているんです。

これを取るのに、時間がかかることがあります。
だから出る時間を少しだけ早めます。

大したことではないように聞こえるかもしれません。
でも毎朝これが読めないのが、地味に効いてきます。霜の張り方はその日次第だからです。

冬でいちばんきついのは、運転中ではありません

ここは、意外に思われるかもしれません。

冬でいちばんきついのは、積み込みと荷降ろしのときです。

理由は、寒さそのものではありません。
体が固まっているからです。

寒いと、体はこわばります。その状態で荷物を持つと——腰にきます。

後輩くん
後輩くん

寒さで腰に来るんですか…。考えたこともなかったです。

自分は腰痛と20年つき合ってきました
その経験から言うと、冬は腰に気をつける条件がひとつ増える季節だと思っています。

持ち方そのもの(膝を曲げる、体に引き付ける)は、腰痛の記事に書いたとおりです。
冬はそこに「体が冷えて固まっている」という条件が乗ります。同じ持ち方でも、負担が変わります。

凍った坂道で、横滑りしました

ここからが、冬の本当に危ない話です。

朝、地面が凍っていました。
坂道でブレーキを踏んだら、横滑りしました。

ドリフトのような状態になって、もう少しでガードレールに衝突するところでした。

ぶつからなかったのは、正直、運が良かったからだと思っています。

事故とヒヤリハットの記事にも書きましたが、自分は事故を起こしたことがあります。
そのうえで言うと、冬の朝の路面は、特別に怖いです。

気温が下がる早朝は、溶けた雪や水分が凍っていることがあります。
見た目では、濡れているだけなのか凍っているのか、分かりにくい。これがいちばん厄介です。

知っておいてほしいのは「空荷のほうが滑る」ということ

荷降ろしを終えて空荷になったトラックにチェーンを取り付けているイラスト

これは、未経験の人にはまず想像がつかないところだと思います。

自分がチェーンを巻いたのは、荷降ろし先でした。
行きではなく、荷物を降ろしたあとです。

理由はこうです。

空荷になると、後ろのタイヤに重さがかからなくなるからです。
地面を押さえつける力が、小さくなります。

アンナギ
アンナギ

荷物を積んでるときのほうが安心なんだ。降ろして軽くなった帰りが、いちばん危ない。
ここは、乗ってみないと分からないところだと思う。

調べてみると、これは自分の思い込みではありませんでした。

トラックは後ろのタイヤが駆動輪です。
荷物を積んでいれば、その重さが駆動輪にかかって、路面をつかむ力が生まれます。
空荷だと、その重さがありません。

とくに発進のときや坂道で、タイヤが空回りしやすくなるとされています。

記事18で書いたことと、ちょうど逆になります

ここは並べて見ると分かりやすいと思います。

状態危ないところ
荷物が重いブレーキが効きにくい。止まらない
空荷(軽い)路面をつかむ力が弱い。発進で空回りしやすい

事故の記事では「重い荷物を積んでいる日はブレーキの効きが悪くなる」と書きました。
冬は、そのにも気をつけることになります。

重ければ止まりにくい。軽ければ進みにくい。
どちらにしても、あわてないこと・車間をあけることに行き着きます。

実際に使っている防寒装備

自分が着ているものを、買った場所まで含めてそのまま並べます。

部位使っているもの買った場所
上着寅壱(とらいち)のパイロットジャンパーワークマン
インナー極暖タイプの発熱インナーパシオス
足元保温の靴下(銘柄は不明)パシオス
下半身ズボンの下に裏起毛の股引きパシオス
普通のニット帽ワークマン
モコモコのついたネックウォーマーワークマン
ゴム手袋
会社支給の安全靴(防寒は特にしていません)

見てのとおり、高いものは何もありません。
ワークマンとパシオスで揃います。

ひとつ、恥ずかしい話を書いておきます。
この上着を、自分はずっと「ドカジャン」だと思っていました。調べてみたら、正式には「パイロットジャンパー」という名前でした。

現場では呼び名がいいかげんなものです。
買うときに商品名で探すなら、そこは気をつけてください。

インナーについて、ひとつ正直に書いておきます。
自分が着ているのはパシオスで買った極暖タイプのものです。よく名前の挙がる某社の製品ではありません。
それでも十分に温かいというのが実感です。

近くに店がない人へ

ここまで挙げたものは、作業服店や量販店で揃います。

ただ、近くに店がない人もいると思います。
ドライバーは平日に時間を取りにくい仕事なので、買いに行けないまま冬になる——これは実際にありがちです。

同じようなものは、ネットでも買えます。

選ぶときの基準だけ書いておきます。ここは自分の実感です。

  • ニット帽……耳まで覆えるもの。耳を覆えるかどうかで、体感がかなり変わります
  • ネックウォーマー……モコモコがついているものが暖かいです
  • インナー……「極暖」と書かれているものなら、たいてい十分です

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ニット帽・ネックウォーマー・インナーの3つは「こういうもの」という例で、自分が使っている品そのものではありません(自分のは店で買ったものです)。上に書いた基準に合えば、どこで買っても大きくは変わらないと思っています。
いちばん右の上着だけは、自分が実際に着ているものと同じです。

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頭と首を覆うのは、はっきり効きます

この中で「これは効く」と言い切れるものを挙げるなら、頭と首です。

寒さをしのぐのに、とても有効です。
ニット帽をかぶると、頭だけでなく耳を覆えるのが大きいと感じます。
首元も、ないと寒い。あるとすごく助かります。

正直に言えば、この8つはどれも「ないと困る」ものです。
ただ、効いている実感がいちばんはっきりしているのは、頭と首だと思っています。

アンナギ
アンナギ

上着に金をかけるより、先にニット帽とネックウォーマーを買ったほうがいいと思う。
どっちもワークマンで、たいした値段じゃないからね。

ただし、作業に入ると真っ先に外すのもネックウォーマーです

ここが冬の面白いところです。

作業に入ると、いちばん邪魔になるのがネックウォーマーです。
動くと汗をかいてくるので、自分はこれを一番に外します。

つまり、装備は着っぱなしにするものではありません。
寒いときに着て、動いたら脱ぐ。この繰り返しになります。

そして、ここに落とし穴があります。

正直に書きます。効かなかったものもあります

買ったけれど、自分には合わなかったものもあります。

ペルチェ素子を使った、首を温めるタイプのものです。

期待したほどではありませんでした。
自分には合いませんでした。

ただし、これは自分に合わなかったというだけの話です。
使い方や体質によっては、違う感想になるかもしれません。「効かない」と断言するつもりはありません。

汗をかいたまま働いて、風邪をひきました

冬の失敗として、いちばん覚えているのがこれです。

荷降ろしをしていて、汗をかいてきました。
暑くなったので、ネックウォーマーを外し、薄手のまま仕事を続けました。

そうしたら——体が冷えて、風邪をひきました。

冬の現場は、この繰り返しです。

1
動いて
汗をかく
2
薄着になる
/脱ぐ
3
止まった瞬間に
汗で冷える

寒さで風邪をひくというより、汗をかいたあとに冷えてやられます。

これは着込めば防げる話ではありません。着込むほど汗をかくからです。
脱ぎ着で調整するしかない、というのが正直なところです。

そして自分が続けているのは、手洗いとうがいです。

拍子抜けするかもしれませんが、それだけです。
納品先をいくつも回る仕事なので、人と物に触れる回数は多い。だからここは忘れずにやっています。

冬に向いている人・冬がしんどい人

冬のほうがラクに感じる人
  • 暑さに弱い人
  • 動いていれば平気な人
  • 着込むのが苦にならない人
🤔
冬がしんどい人
  • 腰に不安がある人(体が固まります)
  • 待機の時間が長い仕事の人
  • 朝が弱い人(霜取りのぶん早く出ます)

自分は暑さのほうがこたえるので、どちらかといえば冬のほうが体はラクです。

ただ、腰に不安がある人にとっては、冬のほうが厳しいと思います。ここは正直に書いておきます。

まとめ:体は夏、危なさは冬

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

まとめます。

  • 体力的には夏のほうがきつい。冬は動いていれば温まります
  • 冬でいちばんきついのは運転中ではなく積み込みと荷降ろし。体が固まって腰にきます
  • 凍った坂道で横滑りしました。早朝の路面は、濡れているのか凍っているのか分かりにくい
  • 空荷のほうが滑ります。荷物を降ろしたあとの帰りが、いちばん危ない
  • 装備はワークマンとパシオスで揃います。高いものはひとつもありません。とくに効くのはニット帽とネックウォーマー(頭・耳・首)
  • 汗冷えで風邪をひきました。着込めば防げる話ではありません

「冬はきついぞ」と脅すつもりはありません。体は夏のほうがきついというのが、20年やった正直な実感です。

ただ、危なさの種類が変わります。
夏は自分の体との勝負ですが、冬は路面との勝負になります。

そこだけ頭に入れておけば、冬は必要以上に怖い季節ではありません。